2006年 01月 25日
EBウイルス
ありふれた病気だったもの
幼少期に感染すると どうという事の無い病気であるはずのものが
場合によっては
ヒトの命に大きく関わる という ケース
珍しい事ではありませんよ
その代表例が「EBウイルス感染症」なのです
3月20日 ミスの修正と戸田君の近況を加筆しました。
乳幼児期には発症しても症状は軽く、発熱も2~3日であったりして他の感染症との区別も難しいため、EBウイルス感染症と確定診断できないまま、いつまにかかかってしまって免疫も出来ていることがほとんどです。思春期くらいで発症すると比較的典型的な症状を引き起こします。その場合は熱が長く続くので、原因を調べるために、ウイルスの抗体価の検査などが行われて診断されることが多くなります。
肝機能が悪化した場合などには正常化するのに少し時間がかかりますが、基本的には自然によくなっていき、特別な治療を要しない予後の良い病気です。
またEBウイルスは感染力が弱く、さらに抗体を持っている人は誰でも唾液中にウイルスを排泄しているため、感染者を隔離しても意味がありません。
★特殊なEBウイルス感染症
・慢性活動性EBウイルス感染症
EBウイルスの異常な増殖を伴い、症状が数カ月にわたって持続したり、再発したりします。肝臓、心臓、肺などに様々な合併症を引き起こしたり、悪性リンパ腫という悪性腫瘍を合併したりして致死的な経過をたどることもあります。
・血球貪食症候群
これはウイルス感染によって、血液中の白血球や赤血球や血小板などの血球成分がどんどん減っていくというもので、他のウイルス感染からも起こることはありますが、EBウイルスによるものは程度も強く、予後も悪くなります。
わだこどもクリニック こどもの病気いろいろ より
アイランドリーグファンの皆さん は 協力要請する記事
カープファンの皆さんは 天野投手の呼びかけ記事
タイガースファンの皆さんは 藤川投手の呼びかけ記事で
すでに 御存知のこととは思いますが
四国にいない 野球には 興味関心が無い というかたがたは
これらの記事に気づかれていないままかもしれません
高知大学の学生さんが 入学後 EBウイルスに感染して
悪性腫瘍を併発 骨髄移植のドナーを探すも
一致するヒトが見つからず 闘病生活を続けています
詳しくは→戸田浩司君を支援しよう!
戸田君ですが
ドナーからではなく,弟さんからの骨髄移植を受け
上のHPによると 経過は順調のようです。(3/20追記)
青年期に EBウイルスに感染して発症するのが
「伝染性単核球症」⇒発熱と全身のリンパ節(腺)が腫れる。
悪寒・発熱、頭痛、つづいて嘔吐 という病気
☆3月20日☆一部修正
かつて 病原体が同定されなかった頃は
「日向熱・土佐熱・徳島熱」 などと混同されていたらしい
GON様より補足説明を頂きましたのでこの項目修正。
症状がそっくりなのですが
「日向熱・土佐熱・徳島熱」はリケッチアという細菌によるものだそうです
リケッチアのほうは聞いた覚えがかすかにありますね。
乳幼児期に発症した場合は
ほとんど 喉風邪
あるいは 突発性発疹
(ウイルスタイプとしては、こちらヒトヘルペスウイルスに近いらしい)
の ようなもの になるわけですが・・・。
by gabefunyaa | 2006-01-25 07:08 | あれこれ | Trackback(1) | Comments(8)
◇◇◇◇◇◇この記事はしばらく上に置いておきます◇◇◇◇◇◇ 天野投手と阪神藤川投手が高知土佐高野球部の元エースの戸田浩司さんの支援を目的としていた骨髄バンクへのドナー登録の呼びかけをされています。 カープ天野 ドナー登録呼び掛け 天野 戸田さん助けたい! 阪神藤川が呼び掛け「ドナー登録を」 球児 後輩の命を助けたい!! 天野投手はかつて、母校の後輩が白血病で亡くなられたという辛い事がありましたし、同じ四国ということもあって心を突き動かされたようです。 戸田浩司君は昨年の9月に高...... more
EBウイルスについて説明していただいてありがとうございます。
ドナー登録に関しては、登録するしないに関わらず、多くの人にこういうのもあるんだと知って欲しいですね。
かくいう私は未だ登録してないんですが…
>茜さん
コメント&トラックバックありがとうございました。
私は低血圧(調子の良い日も有るけどね…。)
骨髄バンクのドナー登録・最高血圧89以下はだめ
だそうですね。調子の悪い日に登録に行くと一発で失格です。
坂道を登った後に簡易血圧計で測定して
最高血圧93だったりしましたから。安静時はどんなんだろう?
日向熱・土佐熱・・・これらの疾患の病原体は ネオリケッチア・センネツ というリケッチア(細菌の一種)です。ウイルスが原因ではありません。
日向熱や土佐熱の症状が伝染性単核症と似ていることから、EBウイルスによる疾患と混同されてしまってます (いくつかのホームページで間違いが散見されます)。
日向熱や土佐熱は伝染性単核症とは病原体・感染様式、治療法が全く異なる別の疾患であることを申し添えます。
>GONさん
補足コメントありがとうございます。
(修正しておきます)
で、混同されてしまっているということは
EBウイルスの同定と、リケッチア疾患の同定がなされ、別種の疾病である事がわかった時期というのは比較的近年(1970年代以降)ということなのでしょうか?
そのあたり突っ込んだ話も聞かせていただくと助かります。
伝染性単核症は1889年に初めて報告されていますが、この時には「腺熱」として報告されています。現在でも、英語で Glandular Fever (腺熱)と書けば、ほぼEBウイルスによる伝染性単核症のことを指します。一方、日向熱や鏡熱など、リケッチア性の腺熱は、Sennetsu Fever として区別されてます。
さて、異好抗体を用いた伝染性単核症の診断法は1930年代に報告されています。すなわち、この時期にはEBウイルスによる伝染性単核症とリケッチア性の腺熱との診断鑑別ができるようになってました。その後、1964年にEBウイルスが発見され、1968年にはEBウイルスが伝染性単核症の原因ウイルスであることがHenleらにより報告されてます。一方、日向熱などの病原体であるネオリケッチア・センネツは1953年に日本人の研究者達が発見しています。
リケッチア性の腺熱とEBウイルスによる伝染性単核症とは、微生物学(細菌・ウイルス学)的には以前から鑑別診断ができていました。しかし、英語と日本語での疾患名の区別が紛らわしいため、東洋医学や(一般人向けの)医学ジャーナル界では現在でも混同が続いているというわけです。
EBウイルス(Epstein-Barr virus)は慣用名でして、
EBウイルスの正式な学名は、Human herpesvirus 4 (イタリック文字)です。
というわけで、EBウイルスはヒトヘルペスウイルスそのものになります。
>GON さん
うわー!ありがとうございます。
1950から60年代、とかなり古いにも関わらず
使用する言語の問題で混乱が続いているとは…。
なんともはや困った問題ですね。
いわゆるヘルペスウイルスによる(乳幼児の病気として有名な)
突発性発疹に近いタイプだろうな、と思っていましたので
詳しく補足していただきとても嬉しいです。
この先,他の記事でも医学的な事でうっかりミスを書いていましたら
どんどん指摘をお願い致します。
こちらの記事を拝読させて戴き、更なる知識を得ました。リンク先を拝見致しました所、戸田君は10月11日に無事大学に復学されたとの事で本当に良かったです。
実は3年程前にヘルペスを罹患しました。これも全く恥ずかしい話なのですが、それ迄は「ヘルペス=性病」という認識しか無く、加えて「罹患=かなり深刻な事態」という思考しか在りませんでした。実際に病院及びネットでそれから多くの知識を得て、己の無知さ加減を思い知らされた次第です。
唯ウイルスって、それ単体で発症した場合問題無くても、例えば一旦発症すると、別の病気に罹患する可能性が急激に高まったりというケースも在り、やはり自分なりに理論武装&体調管理をきちんとしていないと駄目なのは確かですね。